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相続の相談は弁護士と税理士どっちにすべき?役割の違いを徹底比較

相続の相談は弁護士と税理士どっちにすべき?役割の違いを徹底比較

相続は法律、税金、不動産などの複数の分野が複雑に絡み合うため、「どの専門家に相談してよいかわからない」という方も多いでしょう。

主な相談先は弁護士と税理士であり、それぞれの得意分野と対応可能な問題・手続きを理解しておくことで、自身のケースに合った適切な相談先が見えてきます。

この記事では、相続における相談先で弁護士と税理士どっちに依頼すべきかをわかりやすく解説します。

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相続手続きにおける弁護士と税理士の違い

相続手続きにおける弁護士と税理士の違い

相続手続きにおいて、弁護士と税理士の役割の違いを踏まえて相談先を選ぶことが重要です。

弁護士は、遺産分割の条件を巡る意見の対立や、特定の相続人への不満・疑義が生じている場合など、法的な紛争や交渉が見込まれるケースを主な担当領域とします。

一方、税理士は、相続税が発生しそうなケースや、財産評価・申告・節税対策を中心に検討したいケースを得意とするため、税負担や申告手続きに関する不安が大きい場合に適した相談先といえます。

どっちに相談すべきか迷う場合は、相続トラブルの有無と相続税の発生見込みの2点を軸に検討するとよいでしょう。

相続手続きの基本的な流れ

相続手続きの基本的な流れ

相続手続きの全体像を把握しておくと、「弁護士に相談すべき段階か」「税理士の関与が必要か」を判断しやすくなります。

一般的な流れは、次のように整理できます。

  1. 相続人の確定(戸籍の収集など)
  2. 相続財産と負債の調査・一覧化
  3. 相続方法の選択(単純承認・限定承認・相続放棄)
  4. 遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
  5. 各財産の名義変更・解約手続き、相続税申告・納付

これらの各段階で、意見の対立が起こる可能性が高い場合は弁護士、税金計算や申告が問題となる場合は税理士に関与を求めることで、手続きをスムーズに進めやすくなります。

弁護士が行う主な相続手続き

弁護士が行う主な相続手続き

弁護士は、相続人同士の利害調整や法的なトラブルの有無を踏まえながら、相続全体の手続きを法律面から統括的にサポートします。

ここでは、弁護士が行う主な相続手続きを解説します。

遺言書の検認申立

遺言書が見つかった場合、弁護士は家庭裁判所への検認申立て手続き一式を担います。

自筆証書遺言(法務局で保管されたものを除く)などを検認せずに開封または利用すると、「本当に本人が書いたのか」「手続きを守っているのか」といった点で相続人同士の疑義が生じやすくなります。

申立書の作成や必要書類の収集、裁判所とのやりとりは一般の方には負担が大きいです。そのため、弁護士などの専門家が対応することで手続きの抜け漏れを防ぎ、遺産分割へスムーズに進める体制を整えられます。

遺産分割協議書の作成

遺産の分け方がまとまった段階では、その内容を法的に有効な遺産分割協議書として整える役割を弁護士が担います。

協議書は、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、多くの相続手続きの土台となる重要書類であり、テンプレートを流用しただけでは不十分な場合があります。

弁護士と協力し、法定相続分や特別受益・寄与分などを考慮し、誰が見ても解釈に迷わない文面で遺産分割協議書を作成すれば、後日のトラブルを防ぎやすくなります。

相続人の調査

相続人が誰に当たるかを漏れなく確定するための戸籍調査も、弁護士が行う相続手続きの一つです。

「相続人はだいたい分かっている」と自己判断で進めてしまうと、過去の婚姻歴や認知・養子縁組などから、想定外の相続人が後から判明する場合があります。

弁護士に依頼すれば、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式をたどり、相続人を網羅的に洗い出すことが可能です。

その結果、後から新たな相続人が現れて協議のやり直しを求められるリスクが減り、安心して遺産分割を進められるようになります。

相続財産の調査

どのような財産や負債が相続対象になるかを整理する相続財産調査も、弁護士が担う重要な手続きです。

「相続するのは預金と自宅くらい」と思っていても、調べてみると借入金や保証債務、保険金、有価証券などが見つかることは珍しくありません。

そのため、弁護士と協力し、金融機関への残高照会、不動産登記簿の取得、債務状況の確認などを通じて、プラス財産とマイナス財産を一覧化するのがスムーズに手続きを進めるポイントです。

専門家のアドバイスを得れば、「相続するか放棄するか」「どの財産を誰に承継させるか」といった判断も現実的に行いやすくなります。

相続放棄の手続き

相続放棄を行う場合、弁護士は家庭裁判所への申述手続き全般をサポートします。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に行う必要があります。万が一、期限管理や書類の記載ミスがあれば、希望どおりの結果にならない可能性があるため、注意が必要です。

そこで、事前の財産調査を踏まえつつ、「本当に放棄が適切か」「既に一部財産に手を付けてしまっていないか」などを整理しておくことが重要になります。

弁護士に依頼し、申述書作成や戸籍収集、裁判所とのやりとりを任せれば、リスクを抑えながら相続放棄の手続きを進められます。

不動産の名義変更

不動産については、遺産分割の内容に沿って相続登記を適切に行うための調整役として弁護士が関与します。

「誰の名義に、どの持分割合で登記するか」は、今後の売却・担保設定・管理に大きく影響する要素です。ここで登記内容を誤ると、後の訂正登記や追加手続きが必要になることもあります。

遺産分割協議書の内容を正確に反映させつつ、司法書士などと連携しながら、実務上支障のない登記内容を検討・調整するのが、弁護士の重要な役割です。

預貯金の解約・払い戻し

預貯金に関する解約・払い戻し・名義変更のための金融機関対応も、弁護士に依頼することが可能です。

相続人自身だけで対応すると、各銀行ごとに必要書類や書式が異なり、多くの場合で相続人全員の実印・印鑑証明書、遺産分割協議書などが求められるため、大きな負担になります。

必要書類の整理や銀行との連絡、窓口での具体的な手続きの段取りを弁護士が担うことで、時間と手間を軽減しつつ、「一部の相続人だけが無断で引き出す」といったトラブルの予防にもつなげられます。

有価証券の名義変更

株式や投資信託などの有価証券については、遺産分割の合意内容に基づき、名義変更や換金の実務を進める場面で弁護士が関わります。

「現物で分けるか、一度売却して現金で分けるか」は、相続人ごとに意見が分かれやすく、トラブルが起こりやすい場面です。

そこで弁護士は、「どの銘柄を誰が取得するのか」「いつ・どのように名義変更や売却を行うのか」を整理し、必要書類の準備や手続きのサポートを行います。これにより、公平感を保ちつつ実務を進められるようになります。

相続税申告のサポート

相続税が発生しそうなケースでは、弁護士は相続税申告そのものではなく、「どのような遺産分割にするか」「どの内容で合意するか」という前提部分の整理を引き受けます。

相続税の申告書作成は、税務の専門家の業務です。ただし、その前提となる遺産の分け方次第で、税額や各人の負担が変わってきます。

弁護士は、家族の事情や将来の生活設計、税務上の選択肢を踏まえつつ、法的に無理のない分割案を組み立て、税務専門家の申告・節税提案が機能しやすい土台を作る重要な役割を担います。

相続トラブルの解決支援

相続人同士の対立が表面化した場合、弁護士はトラブル解決に向けた交渉や、裁判所を利用した各種手続きの窓口として重要な役割を担います。

「特定の相続人の取り分が過大ではないか」「遺言の内容に承服できない」「生前贈与の扱いが不公平だと感じる」といった場面では、当事者のみでの協議が難航しやすい状況です。

弁護士はこのような問題に介入する場合、法律上の権利関係を整理し、主張し得る範囲と譲歩可能な範囲を明確にしたうえで協議による解決を試みます。

それでも合意にいたらない場合には、調停や訴訟など裁判所の手続きを引き続きサポートしてもらうこともあります。

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税理士が行う主な相続手続き

税理士が行う主な相続手続き

税理士は、相続税の計算・申告を中心に、税務面から相続手続きをサポートする役割を担います。

ここでは、税理士が具体的にどのような相続手続きを行うのかをわかりやすく解説します。

相続人の調査

相続人の調査について、税理士は「誰が相続人か」を法律的に確定するというより、「誰に相続税がかかるのか」を把握する目的で関与します。

弁護士の場合、戸籍調査を通じて、相続人の有無・範囲を漏れなく確定します。一方で、税理士はその結果を前提に、各相続人の法定相続分や取得見込み額を整理し、相続税の試算や申告方針の検討に生かしていくイメージです。

戸籍や家系図を事前に把握しておけば、税理士側でスムーズに相続税の見通しを立てることができます。

相続財産の評価・調査

相続財産の評価では、税理士は「税務上いくらと評価するか」を専門的に判断します。

弁護士は、財産の有無や債務を洗い出す役割を担います。それに対して税理士は、発見された財産を路線価・倍率方式、上場株式の評価方法、保険金の課税関係など、相続税法上のルールに沿って金額を算定するのが重要な役割です。

この評価が相続税額の基盤になるため、税務に精通した税理士に相談しておくと、過大申告や過少申告のリスクを抑えやすくなります。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書について、税理士は「税金の観点から望ましい分け方かどうか」を検討する役割を担います。

弁護士は、協議書そのものの有効性や表現の妥当性を担保します。それに対して税理士は、配偶者控除や小規模宅地等の特例、二次相続まで見据えた税負担のシミュレーションを行い、「どの財産を誰が取得すると税務上有利か」を提案する立場です。

その結果を協議書案に反映することで、法的に有効でありつつ、税金の面でも無理のない内容に近づけることができます。

相続税の申告手続き

相続税の申告手続きは、税理士が最も得意とする相続業務です。

弁護士が遺産分割の合意形成や相続放棄の要否といった「前提条件」を整えるのに対し、税理士は確定した分割内容を前提に、相続税の計算、各種控除・特例の適用判断、申告書の作成・提出、納税方法(分割払い・物納など)の検討までを一括してサポートします。

被相続人が死亡したことを知った日の翌日から原則10か月という申告期限の中で、漏れなく・ミスなく税務手続きを完了させたい場合には、税理士への依頼が不可欠といえます。

預貯金の整理・解約

預貯金の整理・解約について、税理士は「相続税の計算と納税資金の確保」という観点から関わります。

弁護士は、預貯金の法的な払戻し手続きや、相続人間の調整を担います。一方で、税理士は残高証明書の収集や口座ごとの残高一覧を作成し、課税対象となる預貯金額を確定しつつ、納税資金の確保をするための口座の解約・分配を検討します。

税金を払うために「どの資産から現金化するべきか」を一緒に考えてもらえる点が、税理士ならではの役割です。

有価証券の評価・名義変更

有価証券に関する「評価」や「将来の税負担」について、税理士は専門的な知見を活かしてサポートします。

弁護士の場合、遺産分割協議に基づき、誰がどの銘柄を取得するかといった合意形成を支援します。それに対して税理士は、相続税法に基づく株価評価(評価時点・評価方法)や、売却した場合の譲渡所得税の見込みなどを考慮し、「現物での相続か」「売却での現金化と配分か」といった判断材料を提供します。

これにより、相続時と将来の売却時、両方の税負担を見通したうえで、有価証券の名義変更や処分方針を決めやすくなります。

各士業の得意分野と依頼先の選び方

各士業の得意分野と依頼先の選び方

相続には、弁護士と税理士以外にも、司法書士や行政書士などの士業が携わる場面もあります。

したがって、相談先を選ぶ際は「どの士業が何を得意としているか」をおさえておくことが重要です。

以下は、相続に関わる士業と得意分野、依頼が向いているケースの例をまとめたものです。

士業 主な得意分野 向いているケースの例
弁護士 相続人間の争い、交渉・調停・訴訟、法的トラブル対応など 遺産分割で対立がある、遺言に疑義がある場合など
税理士 相続税の試算・申告、財産評価、税務調査対応など 相続税がかかりそう、節税も含めて相談したい場合など
司法書士 不動産の相続登記、名義変更、相続関係書類の作成など 不動産の名義変更だけ専門家に任せたい場合など
行政書士 相続関係書類の作成(遺産分割協議書など)など トラブルはなく、主に書類作成を手伝ってほしい場合など

相続全体について不安が強いときや、親族間で意見が対立しているときは弁護士を起点に相談することをおすすめします。

税額や申告が主な関心事なら税理士、不動産登記の実務を進めたい場合は司法書士、トラブルのない案件で書類作成だけ任せたい場合は行政書士を検討するのが目安になります。

まとめ

相続において、法的トラブルや争いがある場合は弁護士への相談、税金対策や申告が必要な場合は税理士が適しています。

両者の役割は明確に異なり、状況に応じて依頼先を選ぶことが重要です。判断がつかない場合は、まず弁護士に相談することで、必要に応じて他の専門家と連携が可能になります。

徳島県鳴門市の『泉法律事務所』では、相続トラブルの有無にかかわらず、相続人調査や遺産分割協議、相続放棄の検討など幅広いご相談に対応しています。

税理士を含む他の専門家とも連携しながら、お客様それぞれの事情に合わせた手続きの進め方をご提案することが可能です。

「弁護士と税理士のどっちに相談すべきか迷っている」「自分のケースを一度整理してほしい」という方は、ぜひこの機会にお問い合わせください。

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執筆者情報

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執筆者:弁護士 泉智之/泉法律事務所

所属組織
徳島弁護士会所属
取扱業務
民事全般

ご依頼者様の想いに寄り添いながら、最善の解決策を共に考え、将来を見据えた支援を行うことを大切にしています。 法的解決にとどまらず、その先の人生まで見据えてサポートいたします。