
交通事故の被害に遭った場合に、早期にトラブル解決を図りたいと考えるのが自然です。
しかし、事故の種類や状況によって解決までの期間が長期化し、不安やストレスが長引いてしまうことも少なくありません。例えば、物損事故なら数か月で解決することもありますが、後遺障害がある人身事故や死亡事故では解決に1年以上かかることもあります。
安心して治療や生活に専念するためにも、適切に対応し、解決までの期間を可能な限り短くすることが大切です。
弁護士に依頼することで、手続きのスムーズ化や示談交渉の迅速化が図れ、早期解決が期待できます。
この記事では、交通事故の種類ごとの一般的な解決期間や短期解決を目指す際のポイントを紹介します。
交通事故のトラブル解決までの一般的な期間
交通事故のトラブル解決までの期間は、事故の種類や状況によって大きく異なります。
ここでは、事故の種類ごとの解決期間を解説します。
物損事故
物損事故の解決期間は、事故発生から2〜3か月程度で示談が成立するケースが一般的です。
物損事故とは、人が負傷することなく車両や物品だけに損害が生じた交通事故のことで、自動車同士の軽い接触やガードレールへの衝突などが該当します。
具体的な流れは以下の通りです。
- 交通事故発生
- 損害の査定・修理見積もり
- 示談交渉開始
- 示談成立
物損事故は、人身事故のように治療期間や後遺障害の評価を待つ必要がなく、損害箇所の修理見積もりや保険会社との交渉が中心となります。そのため、損害の範囲が明確であれば比較的早期に修理費用の見積もりが出され、示談交渉を速やかに開始できるのが一般的です。
一方、損害の範囲や過失割合で争いがあるとさらに時間がかかるため注意が必要です。
後遺障害なしの人身事故
後遺障害なしの人身事故の解決期間は、治療が終わり症状が固定した後から示談交渉が始まり、治療終了から半年程度で示談が成立するケースが多いです。
後遺障害が残らないため、損害項目は治療費や休業損害、慰謝料など比較的少なく、交渉がスムーズに進みやすい傾向にあります。
具体的な流れは以下の通りです。
- 交通事故発生
- 入院・通院による治療
- 症状固定
- 示談交渉開始
- 示談成立
事故の内容や治療期間によって示談成立までの期間は変動しますが、軽いむち打ち症などであれば比較的短期間での解決も可能です。
しかし、治療費の範囲や過失割合などで争いが生じると、示談成立までに時間がかかるケースもあります。
後遺障害を伴う人身事故
後遺障害を伴う人身事故の解決期間は、一般的に事故発生後から約1年以上かかることが多いです。
期間が長くなるのは、治療が終わって症状が固定した後に、後遺障害等級認定の申請と、結果が出るまでの期間が必要となるためです。後遺障害の認定には申請から約1〜2か月かかり、その後に示談交渉が始まりますが、示談交渉自体も半年から1年程度かかります。
具体的な流れは以下の通りです。
- 交通事故発生
- 入院・通院による治療
- 症状固定
- 後遺障害等級認定の申請
- 後遺障害等級認定の結果待ち
- 示談交渉開始
- 示談成立
後遺障害がある場合は慰謝料や逸失利益などの損害項目が増えるため、示談交渉は複雑かつ慎重に進みやすく、時間も要します。
死亡事故
死亡事故の解決期間は、一般的に事故発生後から約6か月〜1年程度かかることが多いです。
期間が長くなるのは、被害者の葬儀や四十九日法要などを経てから示談交渉が始まり、遺族の心情やさまざまな損害賠償項目の検討、過失割合の争いも絡むためです。
具体的な流れは以下の通りです。
- 交通事故発生
- 葬儀・四十九日法要などの手続き
- 示談交渉開始
- 示談成立
死亡事故では、加害者に対する刑事手続きも同時に進む場合があり、刑事手続きの結果が民事の示談交渉に影響することもあります。
交通事故の問題解決の期間が長くなるリスク
交通事故の問題解決の期間が長くなると、さまざまなリスクが生じることになります。
ここでは、その具体的なリスクについて解説します。
加害者とのやりとりでストレスが蓄積される
交通事故の問題解決が長引くと、加害者や保険会社とのやりとりも多くなるため、ストレスが蓄積されやすくなります。
相手の対応が遅れたり、高圧的な態度を取られたりすると、被害者の不安やいらだちも増し、生活にも悪影響を及ぼしかねません。特に治療中や生活の立て直しが必要な時期に精神的苦痛が重なることは、心身に大きな負担がかかります。
このため、早期に弁護士などの専門家に相談し、やりとりの負担を軽減しつつ、スムーズな解決を目指すことが大切です。
示談金の受け取りが遅れる
交通事故の示談が長引いてしまうと、示談金の受け取りが遅れ、被害者の生活や治療の支払いにも大きな影響が生じます。
これは示談金は示談成立後に支払われるためで、交渉が長期化した分だけ、お金の受け取りも遅れてしまいます。特に過失割合の争い、後遺障害の認定待ち、保険会社の対応遅延などは示談が長期化しやすい原因です。
こうした事態を避けるため、早期に弁護士などの専門家に相談し、示談交渉をスムーズに進めることが重要になります。
損害賠償請求権の消滅時効が迫る
交通事故の損害賠償請求権の消滅時効は、民法第724条の2に基づき、被害者が損害および加害者を知った時から、人身事故では原則5年、物損事故では3年とされています。
この期間が過ぎると請求権が消滅してしまい、損害賠償を求めることができなくなります。特に、後遺障害があった場合は、症状固定時から時効が進行することもあるため注意が必要です。
また、加害者が不明の場合も交通事故から20年が経過すると時効になります。
時効を過ぎてしまうと、賠償請求ができなくなるため、問題解決が長引く前に弁護士に相談し、適切な手続きを進めることが大切です。
適切な損害賠償額を受け取れない可能性が出てくる
交通事故の示談交渉が長引くと、被害者が受け取れる損害賠償額が適切でなくなる可能性があります。
示談期間が延びる中で、保険会社から提示される賠償額が低く抑えられたり、逸失利益や治療費の正当な評価が不十分になったりするためです。また、交渉が長期化すると被害者の疲弊が進み、不利な条件で早期に妥協してしまうおそれもあります。
さらに、示談や裁判で認定や複雑な計算が必要なケースでは、専門知識がない場合、損害の請求漏れや不利な条件での示談につながるリスクがあります。
そのため、早めに交通事故に詳しい弁護士に依頼し、適正な金額を請求しつつ、交渉を円滑に進めることが大切です。
弁護士に依頼すると問題解決の期間が短縮される理由
交通事故のトラブルは長期化しやすいですが、弁護士に依頼することで期間の短縮が期待できます。
ここでは、その理由について詳しく解説します。
手続きがスムーズに行える
弁護士に依頼すると、専門的な知識と経験を活かし、効率的に手続きを進めることが可能です。
交通事故の損害賠償請求には複雑な手続きが伴いますが、弁護士はこれらを適切に管理し、必要な書類提出も確実に行います。これにより、被害者は手続きの遅延やミスによるトラブルを避けられ、スムーズな進行が可能です。
また、手続きの進捗状況を継続的に把握し調整することで、無駄な時間を省き、効率的に問題解決を目指せます。
示談を速やかに成立させられる
弁護士が交通事故の示談交渉に介入することで、速やかに解決を図ることができます。
なぜなら、適切な賠償額や過失割合を法律基準に基づき計算し、効率的かつ的確に交渉を進められるためです。被害者自身が交渉する場合に比べ、保険会社側も専門家の意見を尊重しやすくなり、不要な駆け引きや交渉の長期化を防げます。
このため、示談成立までの時間が短縮され、被害者は早期に問題解決と賠償金の受け取りが可能となります。
保険会社とのやりとりを一任できる
弁護士に依頼すると、被害者は保険会社とのやりとりをすべて任せられるため、精神的・時間的負担を軽減できます。
保険会社は示談交渉の専門家であり、交渉には駆け引きも多いため、被害者自身で対応すると不利になることも少なくありません。弁護士は法律の知識と交渉経験を活かし、適切な対応で被害者の権利を守りつつ、迅速な解決に導くことができます。
これにより、やりとりの遅延やトラブルを防ぎ、問題解決の期間短縮につなげることも可能です。
裁判になってもスムーズに移行できる
弁護士に依頼すると、裁判に移行する際の手続きがスムーズに進み、問題解決の期間短縮が可能です。
裁判は書類作成や証拠収集、法的主張の立証など専門的な対応が求められ、被害者自身が対応すると時間や労力がかかって長期化しがちです。弁護士がこれらの手続きを代行することで遅延を防ぎ、よりよい条件での和解を目指せます。
このように、弁護士に依頼することで裁判に移行した場合も手続きが円滑に進み、ムダな遅延を防いで早期解決を実現しやすくなります。
交通事故の短期解決は弁護士選びも重要
交通事故の短期解決には、弁護士選びも重要となります。
ここでは、その理由について詳しく解説します。
交通事故分野の実績が乏しいと手続きが遅れる
交通事故分野の解決実績が乏しい弁護士に依頼すると、手続きが遅れて問題解決までに時間がかかる可能性が高まります。
交通事故解決のために必要な手続きとして、一例を下記に紹介します。
- ・警察への事故報告や実況見分調書の取得手続き
- ・示談交渉
- ・後遺障害認定申請
- ・示談成立後の賠償金受領手続き
- ・裁判手続きに必要な書類作成や証拠提出
このように、交通事故解決のためには複雑な手続きが必要です。
実績が少ない場合、書類の不備や準備不足が起こりやすくなり、保険会社との交渉にも時間がかかりやすくなります。
実績が豊富な弁護士であれば、過去の案件から得たノウハウや裁判例をもとに、迅速かつ適切に対応できます。
このように、交通事故分野での解決実績が豊富な弁護士を選ぶことは、手続きの遅延を防ぎ、解決期間を短縮するためにも不可欠です。
コミュニケーションが取りにくいと解決が遅れる
弁護士とのコミュニケーションが円滑でないと、問題解決に必要な情報共有や意思決定が遅れ、解決期間が延びるリスクがあります。
交通事故の解決は、被害者の事情や希望を正確に理解し反映することが重要です。弁護士と依頼者との間で連絡が取りにくかったり、説明が分かりにくかったりすると、必要書類の準備や交渉方針の決定が遅れやすくなります。
特に示談交渉や裁判手続きでは迅速な意思決定が欠かせません。
良好なコミュニケーションが取れる弁護士を選び、その場で疑問点を解決しながら進めることが、円滑で迅速な問題解決につながります。
費用や方針がわかりにくいとトラブルにつながる
弁護士費用や解決方針が不透明だと、依頼者の不安や誤解が生じてしまい、信頼関係が損なわれてトラブルや対応遅れにつながる可能性があります。
費用がわかりにくいと追加請求や費用倒れの不安、方針に対する理解不足は意思決定の遅延や不満につながります。そのため、依頼前や契約時に費用の内訳や報酬体系、今後の対応方針を明確に説明してもらうことが重要です。
わからないことがある場合は、弁護士に質問して疑問を解消するようにしましょう。
まとめ
交通事故のトラブルは事故の種類や状況によって解決までの期間が異なります。
物損事故であれば2〜3か月、後遺障害を伴う重い人身事故では1年以上かかることもあります。解決の長期化は、示談金受け取りの遅れや損害賠償請求権の消滅リスク、精神的ストレスの増大など、被害者に大きな負担となります。
こうした負担を軽減するためにも、交通事故に強い弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、手続きがスムーズとなり、専門的な交渉力で示談成立までの期間短縮が可能です。
徳島県の『泉法律事務所』は、交通事故に関する豊富な実績と専門知識を持つ弁護士が多数在籍し、一人ひとりの被害者に寄り添ったサポートをしています。初めての方でも安心できる丁寧なサポート体制で、難しい手続きもお任せいただけます。
交通事故トラブルでお困りの際は、お気軽にご相談ください。